人工呼吸器管理が苦手!
人工呼吸器、とっつきにくい!
アセスメントなんてとんでもない!
人工呼吸器管理に苦手意識を持っている看護師さん多いかと思います。
この記事を読むことで、人工呼吸器の学習の仕方、指導のポイントが分かるようになります。
・研修医〜が必要な知識を得るための医学書を読みました。
・実際に指導した後輩は、人に教えれる程、呼吸器管理に慣れない医師に進言できるほどに知識を得ました。
私だけではなく、私が教えた後輩が指導ができるようなレベルに達しているのは、かなり信憑性があるんじゃないでしょうか。
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Contents
人工呼吸器管理が苦手か否かを左右するのはアセスメント能力にあり
人工呼吸器管理!というと何を管理したらいいのか、ルーティーンワークでは拭いきれない不安が付きまとっているかと思います。
この不安を解消するにはアセスメント力を上げる必要があります。
なんとなくインターネットで得た呼吸器のモードとか、アラーム対応、といった漠然とした知識ではなく、使える知識を統合することが人工呼吸器管理の不安を払拭する上で必要不可欠です
この使える知識を統合できるように、学習のポイント、学習するべき順番、指導する順番を教えます。
人工呼吸器の学習をする絶対的な順番がある
使える知識を増やし、それら知識を統合することができれば、人工呼吸器管理における不安は払拭できます。
更に、自己学習(自分も、後輩も)を行うことで各セクションごとの理解がより深まり、知識欲が高まり自己肯定感が増し更なるやる気を出します。
その絶対的学習の順番、ポイントは
- 呼吸不全とは何か
- どこの障害による呼吸不全か
- 陽圧管理が呼吸生理に与える影響
- 呼吸器のモードによる特殊性
この1.呼吸不全とは→2.どのこの障害による呼吸不全か→3.陽圧管理の必要性→4.モードによる特殊性
この手順で学習を深めることで、アセスメント力が向上し呼吸器管理における不安が払拭できます。
呼吸不全とは何かが説明できる
ここでの学習のポイントは「呼吸不全とは」が理解できるか否かです。この理解というと、どこまで?何がわかれば理解している?
と学習深度をどこに設定するのか分からないとよく聞かれます。しかし、学習深度は追求し続ける必要があるため設定する必要はありません。
呼吸不全における絶対にクリアしないといけないポイントは2点
- Ⅰ型呼吸不全はどうやって診断できるか
- Ⅱ型呼吸不全はどうやって診断できるか
この呼吸不全について理解しているか否かは呼吸不全を分類できるかどうかにかかっています。
言い換えるならば、酸素化と換気の知識が求められます。
酸素化と換気の知識
呼吸には酸素化と換気の知識が必要になります。
肺の生理的特徴は、体の酸素化と換気を担っていると言えます。
酸素化を改善するためには、酸素を投与することが必要です。換気を改善するには、「呼吸」が必要です。
厳密には内呼吸、外呼吸、代謝といった知識も付随しますが、先ずは酸素化と換気の違いが漠然とでも説明ができればOKです。
どこの障害による呼吸不全か
呼吸をするためには、どこの機能が必要になってくるのか理解が必要です。
ここでのセクションのポイントはどこが障害されているのか、考えることができるという事です。
呼吸というと、「肺」と応えられる方が多いのですが実際に息を吸って吐くという呼吸は、関与しているのは肺だけではありません。
呼吸をするためには3つのポイントをクリアする必要がある
正常な呼吸をするためには3つの大きな機能を持って成立します。
呼吸を司っているのは脳、そして脳からの指令を伝達し、呼吸に携る呼吸筋が作用し、肺で酸素化と換気が行われる。
すなわち大別すると
- 中枢系
- 駆動系
- ガス交換系
これら〜系がどこに該当するのか分けて考えることがポイントです。
そして、これら〜系に該当する疾患は何があるのか話し合うとコーチングする側もクライアント側もお互い成長できます。
中枢系とは
中枢系とは、脳に関与するものと大別して考えます。
具体的な疾患では、クモ膜下出血など脳血管疾患による呼吸中枢障害や、頭部外傷による呼吸中枢障害、薬剤中毒による呼吸抑制などがこの中枢系に該当します。
駆動系とは
駆動系とは、呼吸に司る解剖的部分と大別して考えます。
具体的な箇所では、呼吸筋、気道、神経伝達系が該当します。例えば、末梢神経障害で筋力低下を引き起こすGBS(ギランバレー症候群)や、筋力低下をするALS。
あるいは、扁桃腺周囲膿瘍など気道を狭窄させる病態、これらが駆動系に該当します。
ガス交換系とは
ガス交換系とは、呼吸生理に司る文字通り肺と大別して考えます。
いわゆる、肺炎なんてもろに該当します。
陽圧管理が呼吸生理に与える影響
ここの学習のポイントは生理的呼吸の陰圧呼吸と、呼吸器管理である陽圧管理とが、どのような違いがあるのか分かるかというところ。
正常な呼吸とは
正常な呼吸は横隔膜を下げる運動による、胸腔内圧を下げることによる陰圧で肺胞を膨らましています。これが正常な呼吸であるのに対し、陽圧呼吸ではどのような変化があるのかが理解できると、苦手意識が更に減ります。
陽圧呼吸とは
陽圧呼吸では、人工呼吸器によって圧を送りこみ肺を膨らましています。つまり、正常な肺で横隔膜が動いていたのに対し、陽圧呼吸では横隔膜の運動はされていないのです。
横隔膜が動いていないことで、横隔膜に近位する肺胞が膨らみにくい状況になります。
解剖を思い出してもらえるとピンっとくる方もいるかと思います。
陽圧呼吸がもたらす悪影響がここに現れます。
陽圧呼吸が無気肺を助長させている
横隔膜が動いていないことで、横隔膜に近位する肺胞が膨らみにくい状況になります。ここの影響を持って無気肺が作られ、肺炎へとつながります。
更には、人工呼吸器をつけている患者は座ったり、立ったりしていないことが圧倒的に多いですよね?動かすのが怖かったり、(もちろん患者が苦しいってのもあって)動いてない=ベッドに横になっている時間が多くなることで肺の下葉は肺が持つ自重に耐えきれず、自分の重さで自分を潰しより肺胞が広げにくい状況に陥ります。
結果として、下葉の無気肺が進行していくわけです。
こういった背景を通して、人工呼吸器装着患者には、体位ドレナージが必要となってくるのです。
なんとなく、行なっていた(?)体位ドレナージの目的が明確に見えたのではないでしょうか。
本当にIPPV?NPPVではダメ?
更に、ここでのポイントは病態的にNPPVではダメ?IPPVがいる?
と考えるきっかけにもなります。
心不全の患者なんてのはいい例で、心機能低下によって体液量コントロールがつかない状況から呼吸不全へと至ったわけです。
つまり、自分で呼吸はできるけど補助が欲しい!という状況。
と考えればIPPVは不要ですので、NPPVと選択されるわけです。
人工呼吸器は肺を補助するもの!だけど、正しく使わなければ肺を損傷させる!
超大事な思考で、本当に人工呼吸器は必要なのか?を問うのも、ここでのポイントです。
人工呼吸器のモードによる特殊性
ここにきて、一般的に学習を始めた看護師が最初に学ぶモードを学習するのです。
ここまで学習を深めていれば、患者は呼吸不全の何なのか?どこが障害されているのか?NPPV、IPPVの選択?となればモードは必然的に決まってきます。
例を出すと非常に簡単です。
例えば、
酸素化も換気もできないⅡ型呼吸不全で、駆動系が障害されている(GBS)であれば呼吸ができない(自発呼吸ができない)ならIPPVが必要で、自発呼吸ができないのであれば、呼吸ができるようになるまでACが必要になります。
例えば、
扁桃腺周囲膿瘍で、気道が確保できなくて呼吸ができないのであれば、IPPVでCPAPでもOKな訳です。
順序立て考えていけば、自ずと必要なモードが分かってきます。
呼吸が不規則だったり、不十分であるならSIMVで様子を見ればいいし、鎮静を減らすとも考えられます。
順序を守り考えていけばアセスメントが俄然できる
人工呼吸器の管理、アセスメントができない問題はもはや問題でなく、患者にとってベストのアセスメント、看護介入が無限に考えられるはずなのです。
という訳でざっとまとめてみました。繰り返しますが、
絶対的学習の順番、ポイントは
- 呼吸不全とは何か
- どこの障害による呼吸不全か
- 陽圧管理が呼吸生理に与える影響
- 呼吸器のモードによる特殊性
この本の著者である田中竜馬Drは非常にわかりやすくイメージしやすい言葉で、臨床的に書いてあるので医師だけでなくアセスメントに不安を持つ看護師、ステップアップを願う看護師にもオススメです。
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