人工呼吸器学習の手順。看護師さん必見です

人工呼吸器の学習をしようと思っても、難しい言葉が多かったりとハードルが高いですよね?

そろそろ人工呼吸器を受け持つようになってきたし、学習をしないといけないんだけど難しい。

何から勉強してどう理解していけばいいの?学習の手順ってないのかな?

 

 

看護師さんの皆さんは真面目で勉強熱心です。勉強する手順など参考がないかと思っている方がいるかと思います。

今回は人工呼吸器の学習の手順について、メソッドについてお伝えしたいと思います。

この記事の信憑性

・私が集中ケア領域で働く現役看護師です。

・後輩指導を含め、院内学習会を去年は10回程度行いました。

・3人の後輩を勉強会ができるレベル、自信を持って人工呼吸器設定を考えられるレベルまで育てました

特に、私が教えさせてもらった後輩たちの成長は目を見張るかと思います。彼女らは人工呼吸器の知識ゼロから数ヶ月で達成しました。

この記事を読むことで人工呼吸器を学習するべきポイントを理解でき、勉強の指針になるかと思います。

人工呼吸器学習の手順

様々な勉強する本がある中で、大体は呼吸生理から始まり、設定モードなど難解な言葉が始まることが原因で学習意欲が削がれるのではないでしょうか?勉強を続けるために、理解しやすい人工呼吸器学習の手順があります。

  • 呼吸不全のポイント3点を抑える
  • 陽圧換気がもたらす悪影響を理解する
  • 肺障害を予防するための、設定を考える
  • 患者の呼吸を助ける、設定を考える

この順で学習を深めていくと、臨床ですぐにアセスメントに使えるようになります。

少しずつ学びを深めていきましょう。

人工呼吸器を使用する目的から学ぶ

結論から言いますと、初めに呼吸不全について学ぶ必要があります

人工呼吸器を使っている患者の人工呼吸器の目的はなんでしょうか。

呼吸を助けているに決まっているじゃない。

 

 

そんな声が聞かえそうですが、最も大事なことが呼吸不全への知識。そして、看護師さんが最も理解していない部分な気がします。

ルーティンなケアができるようになってしまっているからこそ、目的が何かを明確にアセスメントできると人工呼吸器の理解を助け成長することができます。

人工呼吸器を装着する患者は必ず呼吸不全の状態になります。そして、その呼吸不全には3つの問題があります。

つまり、呼吸を助ける、人工呼吸器を装着しなくてはならない目的の視点は3つだけしかありません。

  • 中枢系(コントロール系)の問題
  • 駆動系(運動系)の問題
  • ガス交換系の問題

この3つの問題のどこに対して人工呼吸器を使用しているのかをアセスメントするようにしましょう。

ポイント
呼吸器系システムの障)はどこかが上手く働かないだけで呼吸不全になります。

中枢系(コントロール系)の問題

中枢系(コントロール系)の役割は呼吸の指令を与えます。

例えば、頭部外傷などの患者が該当します。駆動系(胸郭、気道など)に問題がない、ガス交換系(肺)に問題がない、脳外科の術後の患者は人工呼吸器を使用していることはありませんか。

例えば、薬物中毒の患者もここに該当します。麻薬などの中毒で呼吸抑制が起こるのも中枢系の問題になります。

呼吸器系システムのどこかが障害されるだけで、呼吸は保たれなくなり人工呼吸器を使用しなくてはなりません。

中枢系に問題がある患者なら、その問題を解決(手術、薬物治療)をしないといけませんよね。

駆動系の問題

駆動系の役割は呼吸のための運動をするになります。

部位としては胸壁、胸膜、軌道、抹消神経に当たります。

例えば、気道狭窄を引き起こす代表的な疾患では重度な扁桃炎でしょう。中枢系も問題ない、ガス交換も問題ない。なのに、軌道が狭くなっているから呼吸の補助が必要になります。

駆動系に問題がある患者なら、その問題を解決(今回の例なら挿管だけ。設定はCPAPでよくない?だって呼吸は問題なくできるんだから。)しないといけませんよね。

ガス交換系の問題

ガス交換系の役割は酸素と二酸化炭素を交換するになります。

部位としては肺、肺血管、間質がターゲットになります。

ガス交換ができないから、人工呼吸器で酸素化、換気どちらかを助けているわけです。その患者が助けを求めているのは酸素化でしょうか、換気でしょうか、あるいはどちらもでしょうか。

こういった呼吸不全についての問題。この視点を持って人工呼吸器に関わると学習深度を深めることができます。

キーワードは「呼吸不全」学習を深めて行きましょう。

陽圧とは何かから学ぶ

通常のみなさんが行なっている呼吸は陰圧呼吸をしています。呼吸筋を使って、胸腔内圧を下げることで陰圧にし、肺胞を膨らましています。

対して、人工呼吸器の呼吸は陽圧で呼吸を補助しています。

あくまで器械ですから、空気に圧をかけて肺胞を膨らましています。圧をかけて。それが陽圧換気になります。

通常、陰圧で呼吸をしているのに対し陽圧で空気を送ることで起こる問題があります。それら問題が無気肺であったり、肺障害だったりするわけです。

陽圧換気である問題を解決するために

無気肺を改善するために、体位ドレナージを行います。

肺にも肺自身にかかる荷重から、重力に逆らえきれず自分の重さで肺胞を潰してしまいます。それが仰臥位で寝かされているならばなおのこと。さらに、陽圧換気では陽圧の圧が抜けやすいところに逃げてしまいます。背面(下葉)がベッドに押し付けられ拡張がしにくい状況は肺胞が膨らまないため、無気肺に非常になりやすいわけです。そして、無気肺という肺胞が潰れている状況が炎症を引き起こし、人工呼吸器関連肺炎(VAP)と呼ばれるように病態が悪化していきます。

医原性に肺炎を引き起こしてしまいやすい状態なので、体位ドレナージを行わなくてはなりません。

・人工呼吸器が引き起こす肺障害が起きていないか、観察をします。

肺障害が起こる原因とはなんでしょうか。次に必要な知識のステップアップがここにあります。

肺障害が起こる原因とは何か学ぶ

肺障害が起こる原因とはなんでしょうか。肺障害が起こるのは端的に言って人工呼吸器が患者の肺にとってあっていない時に起こります。

医療的言葉で言うならば、人工呼吸器が患者の肺にとって合っていない状態、すなわち人工呼吸器ー患者非同調です。

人工呼吸器の目的は、肺を治すのではなく患者が呼吸をするのを助けるにあります。

その患者の呼吸を助けるために様々な人工呼吸器のモード、設定があるのです。各種モードの特徴を理解すると観察するべく項目が理解できます。

A/C、SIMV、CPAPはどのような違いがあるのでしょうか。

VC,PCの違いとはどのようなあるのでしょうか。

ここを理解すると肺障害が起こりやすい状態なのか、患者の呼吸にとって適しているのかが分かります。

 

A/Cとはアシストコントロールの略

A/Cとは患者の呼吸の全てに人工呼吸器の設定通りの補助がかかります。呼吸をしていても、していなくても、どのような場合でも設定通り。

全ての呼吸を補助しているため、最も患者の呼吸仕事量は減る設定です。

SIMVとは設定した通りは補助するけど、それ以外は患者の自分の呼吸

最低限は助けるけど、それ以外は患者の呼吸というのがSIMVです。

設定分しか補助をしないので患者の呼吸仕事量は、ACに比べれば軽減していないです。しかし、抜管に向け自分で呼吸をする練習するためにも使われることも多いです。

CPAPとは全て自分の呼吸。ただし、管があったり抵抗分は呼吸設定で楽にさせたるよ。

CPAPは全て患者の呼吸。しかし、挿管チューブが入っているだけで、呼吸仕事量が増えます。ストローで呼吸するのをイメージしてみてください。

息するのも苦しいですよね。そういった医療的負担は設定によって軽減されています。最も、患者の呼吸仕事量があるモードになります。

呼吸を助ける設定を考える

こういったモードに加えていかに患者の呼吸を楽にするか、それらがPEEPだったりトリガーだったりするわけですね。

なので基本的なモードがあって、そのモードをより詳しく患者の呼吸を楽にするための各種設定があるんだなって考えてもらえればいいです。

ここまで読んでくれたあなたが今行うこと

ここまで読んでいただいたあなたは人工呼吸器の学習にしっかりと学びたいと願っている方でしょう。

そんなあなただからこそ、全力でサポートをしたいと本気で思います。だからこそ、信じてこの学習を深めてください。

「呼吸不全」

この知識が確かなものになると、一気に呼吸器の学習への理解が早まり、超絶的に理解力が上がります。

是非。

 

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